Japanese
English
Bedside Teaching
AT1受容体とAT2受容体の生理機能
Physiological Function of Angiotensin Type 1 and Type 2 Receptors
市原 淳弘
1
,
林 松彦
1
Atsuhiro Ichihara
1
,
Matsuhiko Hayashi
1
1慶應義塾大学医学部内科学
1Department of Internal Medicine,School of Medicine, Keio University
pp.1237-1241
発行日 2002年12月15日
Published Date 2002/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902580
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はじめに
レニン・アンジオテンシン系(以下RA系)は,体液や電解質バランスを保ち血圧を調節する重要な生理的調節系であるばかりでなく,心肥大や動脈硬化といった心血管リモデリングにも重要な役割を担っている.それら作用の多くは,RA系の最終産物であるアンジオテンシンII(以下AngII)がその受容体を介して発揮するものと考えられている.AngII受容体には,いくつかのサブタイプが存在し,それらのうちタイプ1(以下AT1)受容体が1991年に11,2),タイプ2(以下AT2)受容体が1993年に3,4),クローニングされた.
AT1受容体拮抗薬が臨床の場で日常的に使用されるようになった現在,アンジオテンシン変換酵素阻害薬と比べその有用性に明らかな差が認められないことを考えると,少なくともヒトにおいてはAngIIの作用の多くはAT1受容体を介すと考えられ,AT2受容体の重要性は未だ不明であると言わざるを得ない.
本稿では,表1に示すように,循環器領域において既知のATl受容体の生理機能について述べるとともに,最近明らかになりつつあるAT2受容体の生理機能についても言及する.
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