Japanese
English
解説
ATを基準とした運動療法
Exercise Therapy on the Basis of Anaerobic Threshold (AT)
伊東 春樹
1
Haruki Itoh
1
1心臓血管研究所付属病院
1The Cardiovascular Institute
pp.1173-1182
発行日 1992年12月15日
Published Date 1992/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900584
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はじめに
急性心筋梗塞や心臓手術後のリハビリテーション,およびそれに引き続く運動療法や,各種成人病,すなわち高血圧・肥満・糖尿病などに対する運動療法の有用性は周知の事実である.しかしながら,日常診療において運動療法が十分に取り入れられているとは言い難い.その理由として,未だ診療報酬体系に問題があり,一般の医療施設では経済的に採算がとれない点や,運動療法に携わるスタッフの職種としての地位や役割分担などが確立していないことなどが挙げられる.さらに大きな問題として,実際に患者に運動療法を行うにあたって必要な「運動処方」の作り方,すなわち個々の症例に合わせた運動の強さの決定法に一定の基準がなく,実際に行われている処方は多分に経験主義的な色彩が強く,新しくこの分野で仕事をしようとする者にとっては拠り所がなく心許なかった点が挙げられよう.
最近,運動生理学の分野で用いられてきた呼気ガス分析を併用した運動負荷試験が循環器病学の分野にも取り入れられ,運動中の循環動態を酸素の動態の面から解析し,心ポンプ機能や血流分布をはじめ末梢のエネルギー代謝に関する情報も得られるようになった.
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