特集 伝達物質と受容体
4.ペプチド
オピオイド
AT2受容体アゴニストの抗オピオイド効果とPGE2-EP3受容体
山田 優子
1
,
大日向 耕作
1
,
吉川 正明
2
Yuko Yamada
1
,
Kousaku Ohinata
1
,
Masaaki Yoshikawa
2
1京都大学大学院農学研究科食品生物科学専攻
2大阪大学大学院工学研究科フロンティア研究センター
pp.468-469
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100922
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[用いられた物質/研究対象となった受容体]
ノボキニン,アンジオテンシンⅡ,PD123319/アンジオテンシン(AT2)受容体
レニンアンジオテンシン(RA)系は,血圧や体液量の調節機構として中心的な役割を担うことが古くから知られてきたが,近年,それ以外にも多様な作用を有することが明らかにされつつある。RA系の主要な生理活性物質であるアンジオテンシンⅡ(AngⅡ)には2種類の受容体サブタイプ(AT1およびAT2)が存在し,AT1受容体は血圧上昇,飲水促進,食塩摂取促進,下垂体ホルモン分泌などに関与し,AT2受容体は血圧降下および脳保護作用などを示すことが報告されている。また,RA系の全ての構成要素は末梢のみならず中枢神経系にも存在することが証明されている。
以前,内因性の抗オピオイド物質としてウシの脳から[Val5]-AngⅠと[Val5]-AngⅡが抽出されている。また,AngⅡの脳室内投与によりモルヒネの鎮痛作用が抑制されることがtail-pinch法を用いた検討により見出されており,AngⅡの抗オピオイド作用が示唆されている。しかし,AngⅡの抗オピオイド作用がAT1およびAT2のいずれの受容体を介しているかはこれまで不明であった。
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