特集 “わかったつもり”で終わらせない血液凝固異常とDIC
Part 2 検査と鑑別
⓲ アンチトロンビン(AT)—AT低下機序の評価と補充の位置づけ
長屋 聡美
1
Satomi NAGAYA
1
1金沢大学大学院 医薬保健学総合研究科 保健学専攻
キーワード:
アンチトロンビン
,
AT
,
未分画ヘパリン
,
ヘパリン抵抗性
,
抗Ⅹa活性
Keyword:
アンチトロンビン
,
AT
,
未分画ヘパリン
,
ヘパリン抵抗性
,
抗Ⅹa活性
pp.87-91
発行日 2026年1月1日
Published Date 2026/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.188348330180010087
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はじめに
アンチトロンビン(AT)は肝臓で合成される生理的抗凝固因子である。トロンビンや活性化凝固第Ⅹ因子(FⅩa)などの標的酵素に対して,1対1の複合体を形成して不可逆的に阻害し,過剰な凝固反応を抑制する。ATはヘパリンと結合すると立体構造が変化し,阻害効率は約1000倍に向上する。さらに,ATは抗凝固作用に加え抗炎症作用も有することが報告されている1)。
一方で,炎症・重症病態では,体外循環や敗血症に伴う消費・吸着・漏出,尿中への喪失,および肝合成能低下が重なり,ATはすみやかに低下する。ICUでは「AT低下=補充すべきか」がしばしば議論となるが,まずは「補充の目的」を明確にし,続いて「低下機序」を見極めることが重要である。本稿では,
1.ヘパリンを確実に効かせるための補助という観点から,体外式膜型人工肺extracorporeal membrane oxygenation(ECMO)施行時,または直接経口抗凝固薬(DOAC)投与時に,AT補充が有用となり得る局面
2.AT活性低下機序の鑑別アルゴリズム
について概説する。

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