Japanese
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特集 21世紀の心不全治療の展望
免疫学的アプローチによる心不全治療
New Horizons of Congestive Heart Failure for the 21st Century:immunological approach
吉川 勉
1
,
馬場 彰泰
1
,
安斉 俊久
1
Tsutomu Yoshikawa
1
,
Akiyasu Baba
1
,
Toshihisa Anzai
1
1慶應義塾大学医学部呼吸循環器内科
1Cardiology Division, Department of Medicine, Keio University School of Medicine
pp.999-1006
発行日 2002年10月15日
Published Date 2002/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902544
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はじめに
慢性心不全の予後決定因子としての神経体液因子の重要性の認識とともに,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とβ遮断薬が有効な治療手段として,その地位を揺るぎないものにした.軽症から中等症の心不全患者においては,ACE阻害薬とβ遮断薬を併用することによって十分な予後の改善を得られることが多い.しかし,これらの標準的心不全治療薬に乗り遅れた重症末期心不全患者に遭遇することも稀ではない.このような患者では,上記治療薬の導入そのものが困難である.この場合,心移植治療が考慮されるが,わが国においてはドナー不足が決定的である,心移植治療はごく限られた症例にのみ行われる特殊医療に過ぎない.このような難治性心不全患者に対する打開策として再生医療・遺伝子治療とともに期待されるのが,免疫学的アプローチである.
本稿では,心不全において観察される免疫異常を,心不全全般において観察されるもの,心筋疾患に特有なもの,心筋梗塞後リモデリング過程においてみられるものに分類した.そのうえで,従来から行われてきた心不全治療が免疫系に及ぼす影響,および免疫系の修飾をターゲットとした新しい心不全治療の展望に関して,われわれの見解をまとめることとする.
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