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Bedside Teaching
急性心筋梗塞症における血清C-reactive protein増加の臨床的意義—梗塞後リモデリングの予測因子としての新たなる可能性
Serum C-reactive Protein Elevation in Acute Myocardial Infarction: A possible prognostic determinant of postinfarction ventricular remodeling
吉川 勉
1
,
安斉 俊久
1
Tsutomu Yoshikawa
1
,
Toshihisa Anzai
1
1慶應義塾大学医学部呼吸循環器内科
1Department of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.477-482
発行日 1998年5月15日
Published Date 1998/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901691
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はじめに
急性心筋梗塞症(AMI)の診断においてはWHOの基準が示すごとく,心筋逸脱酵素の測定が重要な意義を持つ.なかでもクレアチン・フォスフォキナーゼ(CK)活性は梗塞サイズを反映し,予後と相関することは周知の事実である.AMIにおける再疎通療法やアンジオテンシン変換酵素阻害薬の意義が検討される過程において,左室リモデリングという現象が注目を浴びるに至った.これは急性期の梗塞巣の伸展が引き金となり,引続いて非梗塞巣も進行性に拡張する現象で,遠隔期の心不全の発生の素地となる.急性期の梗塞巣の過剰な伸展は心破裂の原因ともなる.最近,脳性ナトリウム利尿ペプチドがこのリモデリングの指標となることが報告されている1).一方,AMI患者では様々なサイトカインが増加することが観察されるが,その臨床的意義は不明である.
本稿ではこのサイトカインの作用により産生される炎症マーカーであるC-reactive protein(CRP)に焦点を当てて,AMIにおける病態生理学的意義について概説する.
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