Japanese
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連載 プライマリ・ケアのための呼吸・循環器診療(14)
心電図―心不全
Diagnostic Approach for Cardiovascular and Respiratory Diseases in Primary Care(14)―Electrocardiogram in Patients with Heart Failure
高橋 寿由樹
1
,
吉川 勉
1
Toshiyuki Takahashi
1
,
Tsutomu Yoshikawa
1
1慶應義塾大学医学部循環器内科
1Department of Medicine, Cardiology Division, Keio University School of Medicine
pp.563-568
発行日 2007年5月15日
Published Date 2007/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100871
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1 はじめに
心不全は,一般に心臓が全身諸臓器に必要な血液量を十分に拍出できないポンプ不全の状態と定義され,運動耐容能を制限する呼吸困難と疲労,および肺うっ血と末梢性浮腫を招く体液貯留を主症状とする症候群である.様々な基礎疾患が心不全の原因となり得るが,日常診療においては冠動脈疾患,高血圧,心筋症,心臓弁膜症がその大半を占める.
心不全患者の診療において12誘導心電図は必須の検査である.直接心臓の構造を動画像として観察できる心エコーと比べると,心臓の電気的現象を捉える心電図は形態や機能の診断能力では劣る.しかし,心電図からは不整脈,虚血性変化,伝導障害,心負荷所見など臨床上有用な情報が得られ,また,簡便,廉価かつ非侵襲的であることからも,胸部X線写真と並んで心不全患者を評価するうえでの基本的検査といえよう.臨床症状,身体所見,他の検査所見などと照らし合わせながら心電図がどのような病態生理を反映しているかを正確に判読し,診断の一助として役立てることが大切である.また,以前の心電図と比較して経時的変化を観察することも病態の進展を理解するために大変重要である.
本稿では,心不全の診断,治療に心電図検査を十分に生かせるように,心不全患者診療における心電図の役割や判読上注意すべき点などについて述べる.
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