Japanese
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特集 第7回脳のシンポジウム
主題—グリア細胞
グリアへの免疫学的アプローチ
Immunological approaches to the study of glia
森 武貞
1
,
陣内 伝之助
1
Takesada MORI
1
,
Dennosuke JINNAI
1
1大阪大学医学部第2外科教室
1Department of Surgery, Osaka University Medical School
pp.79-86
発行日 1972年2月1日
Published Date 1972/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903351
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I.はじめに
最近の免疫生物学のすぐれた成果の一つとして,多くの臓器における臓器特異抗原(特定の臓器に存在し,他の臓器には認められない蛋白)の発見をあげることができる。臓器特異抗原の発見によつて,今まで主として形態学的に論じられてきた臓器細胞の表現形質(phenotype)を化学的に規定し,定量し,また識別することが可能となつた。
表1に,脳の臓器特異抗原として今日までに報告されているものをまとめてみた。脳は,他臓器にはみられない特殊な構造をもち,特殊な機能を営むところから,脳の臓器特異抗原に対応する構造なり,機能なりの解析がとくにまたれるところであるが,脳特異抗原のなかで脳組織における局在が明確に示されているのはわずかにミエリンに由来するencephalitogen(実験的アレルギー性脳脊髄炎の起因物質)1)と,私たちのastroprotein(グリア特異抗原)13)の二つであつて,他の多くはまだ脳の組織構造との対比を云々するには至つていない。なお,MooreのS−100蛋白3)は,Hyden4),Benda5),永田9)らの実験結果からみて,ある種のグリアに存在することはほぼ確実であるが,グリア特異性という点ではなお多くの疑問を残している。
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