Japanese
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特集 急性心筋梗塞治療の新展開—心筋保護の観点から
心臓リモデリングは抑制できるか—臨床的観点から
New Horizons for the Therapeutic Strategies to Prevent Left Ventricular Remodeling following Myocardial Infarction
吉川 勉
1
,
安斉 俊久
1
,
高橋 寿由樹
1
,
前川 裕一郎
1
Tsutomu Yoshikawa
1
,
Toshihisa Anzai
1
,
Toshiyuki Takahashi
1
,
Yuichiro Maekawa
1
1慶應義塾大学医学部呼吸循環器内科
1Cardiology Division, Department of Medicine, Keio University School of Medicine
pp.867-874
発行日 2001年9月15日
Published Date 2001/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902345
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はじめに
急性心筋梗塞症(AMI)に罹患後,左室内腔はしばしば進行性に拡大し,この過程は梗塞後リモデリングと呼ばれる.図1に示すように,この現象の引き金は急性期にみられる梗塞部伸展(infar—ct expansion)であり,心拍出量の低下を補うべく非梗塞部心筋の拡大・延長を招く.非梗塞部心筋は壁応力の増大を最小限にすべく,心筋肥大を以って代償するが,やがては代償機転に破綻を来して,心不全に陥る.この現象は遠隔期の治療抵抗性心不全の原因とたて重要であるのみならず,難治性心室性不整脈の発生素地となる.AMI急性期からの適切な予防策が施されなければ心臓はリモデリングし,単なる一枝病変であっても心臓は極めて悲惨な状態に陥る.
本稿では梗塞後リモデリングを規定する因子を整理し,そのうえで各々の立場から予防策について論じる.
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