Japanese
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Current Opinion
睡眠呼吸障害—小児の閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)を中心に
Sleep Disordered Breathing Obstructive Sleep Apnea Syndrome in Childhood
榊原 博樹
1
Hiroki Sakakibara
1
1藤田保健衛生大学医学部呼吸器内科・アレルギー科
1Division of Respiratory Medicine and Clinical Allergy, Fujita Health University School of Medicine
pp.89-94
発行日 2002年1月15日
Published Date 2002/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902413
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睡眠呼吸障害をめぐる最近1年間の話題
1 疫学
極めて大規模な疫学調査結果がスペインから報告された1).ポータブルモニターで30〜70歳の一般住民2,148名をスクリーニングし,さらにそのうちの一部(555名)を終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)で確定するというものである.その結果,無呼吸—低呼吸指数(AHI)≧5,AHI≧10,AHI≧15で診断すると,男性では26.2%,19.0%,14.2%であり,女性では28.0%,14.9%,7.0%であった.これらは,今日最も信頼性の高いとされるウイスコンシン・スタディ2)よりもやや頻度が高く,対象の年齢構成と人種の違いによるものと思われる.また,この報告ではAHIが高血圧の発症に関与しており,年齢や性,体重,頸囲,飲酒,喫煙といった交絡因子で補正しても有意であった.このことから,睡眠呼吸障害は,症状がなくても健康に被害を及ぼす可能性がある.
OSASの発症には顔貌の異常(特徴)が深く関与しており3),顔貌の特徴から有病率には人種差が認められる4).黒人やヒスパニック,およびアジア人はコーカサス系白人よりも有病率が高いという指摘があるが4),残念ながらアジアからは質の高い疫学調査がない.最近,香港の中国人を対象にした報告がでたが,男性1,542名の対象者のうちでPSGを実施したのはわずか153名に過ぎず,実態を過小評価している危険性が大きくて信頼できるものではない5).それでも日中の眠気とAHI>5をもつ症例は4.1%と報告され,米国とほぼ同じ有病率であった.
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