Japanese
English
特集 神経活性物質と呼吸
ドーパミンと低酸素感受性
Dopamine and Oxygen-sensing
小田—望月 紀子
1
Noriko Mochizuki-Oda
1
1大阪大学大学院工学研究科電子情報エネルギー学専攻自由電子レーザー研究施設・光量子プロセス講座
1Institute of Free Electron Laser, Graduate School of Engineering, Osaka University
pp.17-22
発行日 2002年1月15日
Published Date 2002/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902405
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
急性および慢性の低酸素状態に対し,生体は様々な応答を示す.哺乳動物はまず出生時に低酸素にさらされるが,その際血中に大量のカテコールアミンが遊離される.また,呼気の急激な酸素分圧低下に対しては,頸動脈小体を介した呼吸促進や,低酸素性肺血管収縮(hypoxic pulmonaryvasoconstriction,HPV)が起こる.これらが速やかで可逆的な応答であるのに対し,慢性あるいは重度の低酸素下では,エリスロポエチンなど赤血球分化成長因子や血管内皮細胞成長因子(vas—cular endotherial cell growth factor,VEGF),あるいはストレスタンパク質の誘導などの生体防御・適応システムが駆動される.低酸素の強度・持続時間によって,応答する分子機構とそれに関わる伝達物質は異なる.ドーパミンをはじめとするカテコールアミンは主として急性の応答に関わっていることが近年明らかになってきた.
ここでは,末梢の化学受容器を介した低酸素応答と,そのモデルとしての培養細胞系での実験,および中枢のドーパミンニューロンと低酸素感受性との関わりについて述べたい.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.