Japanese
English
特集 シナプス
Ⅲ.シナプス可塑性
ドーパミンによるシナプス機能の調節
Dopaminergic modulation of synaptic function
栁下 祥
1
Yagishita Sho
1
1東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター構造生理学部門
キーワード:
ドーパミン
,
シナプス
,
スパイン
,
可塑性
,
意欲
,
条件づけ
Keyword:
ドーパミン
,
シナプス
,
スパイン
,
可塑性
,
意欲
,
条件づけ
pp.57-61
発行日 2023年2月15日
Published Date 2023/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201641
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ドーパミンは,報酬に基づいた学習や意欲の制御に関わる神経伝達物質として知られている。最近の動物行動実験から,ドーパミン神経は報酬などの外部からの刺激に対してサブ秒単位で一過性発火上昇・低下を示し,線条体を主とする投射先で一過性のドーパミン濃度変化を引き起こし,実際に学習や意欲行動を制御していることがわかりつつある。投射先でこのドーパミン動態の情報はGαs/olfまたはGαi/oタンパク質共役型受容体(G protein-coupled receptor;GPCR)に検出され情報伝達している。このようなGPCRを介した神経細胞へのシグナル伝達は一般にニューロ・モジュレーションと呼ばれ,グルタミン酸やGABAによる興奮性・抑制性のシナプス伝達の効率を変化させたり,細胞発火特性を調節したりする。そこで本稿では,このようなドーパミン動態が行動を制御する際に基盤となるシナプス調節機能について,最近の知見をまとめる。
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