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Current Opinion
慢性閉塞性肺疾患(COPD)と遺伝子多型—COPDの病因研究の多様な展開
COPD and Genetic Polymorphism: Various aspects of studies on the pathogenesis of COPD
仲村 秀俊
1
Hidetoshi Nakamura
1
1慶應義塾大学医学部内科
1Department of Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.999-1002
発行日 2001年10月15日
Published Date 2001/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902364
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COPDをめぐる最近1年間の話題
山田らによるheme oxygenase−11),石井らによるα1—antichymotrypsin2)遺伝子多型の報告など,慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の喫煙感受性に関するいくつかの関連解析の結果が報告されたが,依然として決定的因子の発見には至っていない.一方で,マウスにおける遺伝子発現の修飾やリセプターの阻害などにより,vascular endoth—elial cell growth factor(VEGF)3,4),surfactantprotein D(SP-D)5,6),IFN—γ7),IL−138),TNF—α9),IL−610),IL−1110)などの気腫性変化への関与の可能性が示唆された.これらの因子は従来COPDの病因と考えられてきたprotease-anti—protease不均衡やoxidant-antioxidant不均衡に直接関連する因子ではないが,COPDの複雑な病態を修飾している可能性がある.COPDの進展には喫煙と加齢性変化がほぼ必須であるため,これらの比較的グローバルな働きを持つと考えられる因子に先天的に遺伝子多型が存在した場合でも,限られた症例の肺局所に主な病変が出現する可能性が高いため,COPDの喫煙感受性因子として理論的には矛盾しないと考えられる.
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