Japanese
English
綜説
炎症としてみたCOPD
COPD and Airway Inflammation
大類 孝
1
,
矢内 勝
1
,
山谷 睦雄
1
,
山田 紀広
1
,
鈴木 朋子
1
,
中山 勝敏
1
,
佐々木 英忠
1
Takashi Ohrui
1
,
Masaru Yanai
1
,
Mutsuo Yamada
1
,
Norihiro Yamada
1
,
Tomoko Suzuki
1
,
Katsutoshi Nakayama
1
,
Hidetada Sasaki
1
1東北大学大学院医学系研究科老年・呼吸器内科学講座
1Department of Geriatric and Respiratory Medicine, Tohoku University School of Medicine
pp.661-667
発行日 2001年7月15日
Published Date 2001/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902315
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はじめに
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmo—nary disease:以下COPDと略す)とは,慢性気管支炎,肺気腫,または両者の併発により惹起される慢性持続性の閉塞性換気障害を特徴とする疾患である.閉塞性換気障害は,気道病変と肺気腫に起因する肺胞病変とが混在してもたらされるものと考えられる.
COPDの発症には,プロテアーゼ・アンチプロテアーゼ不均衡,オキシダント・アンチオキシダント不均衡などが複雑に関与しているものと考えられているが,プロテアーゼおよびオキシダントの発生には喫煙ならびに大気汚染などの環境因子の直接効果とともに,それらによって誘導される気道ならびに肺胞の炎症が重要な役割を演じていることが次第に明らかにされてきた.
COPDにおける炎症の特徴は,喘息とは異なり気道病変のみならず肺胞領域に及ぶ広汎なものであるという点である.COPDの炎症に関与する細胞として,以前からマクロファージ,好中球が重要視されてきたが,近年,Tリンパ球および好酸球の関与も指摘されている.COPDにおける気道閉塞の部位は,主として末梢気道であることが明らかにされており(図1)1),気道の炎症も同部位に強いことが予想される.
これまで,COPDにおける気道の炎症は,いくつかの手法を用いて調べられてきたが,主なものは喀疾検査(自然喀出もしくは誘発疾),肺胞気管支洗浄液検査,気管支鏡下気管支生検,手術時切除肺の検索,剖検肺の検索などである.
本稿では,COPDの中心的病態である気道および肺胞領域の炎症について,特に治療との関連で重要と思われるいくつかの項目について詳述する.
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