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特集 ACE阻害薬を見直す
ACE阻害薬は認知能力を保持する
Brain-Penetrating ACE Inhibitors Slow the Rate of Cognitive Decline
大類 孝
1
Takashi Ohrui
1
1東北大学大学院医学系研究科老年病態学分野
1Department of Geriatric Medicine, Tohoku University Graduate School of Medicine
pp.369-374
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100187
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はじめに
1980年代に,アンジオテンシン変換酵素(angiotensin-converting enzyme:ACE)阻害剤は全身状態を良好に保ち,身体諸症状を改善させ,性機能障害の改善効果を有するなど,他の降圧剤には認められない降圧効果以外の作用を有することが報告されていた1).その詳細な作用機序は長らく不明であったが,近年いくつかの大規模臨床試験により,ACE阻害剤は降圧作用のみならず,レニン・アンジオテンシン系の調節を介して,心臓,腎臓,血管系および脳などの臓器保護作用を有することが明らかにされてきた2).おそらく,ACE阻害剤投与によるこれらの臓器保護作用効果が,単独にもしくは協調して身体の諸症状を改善するのではないかと推定される.
本稿では,最近明らかにされたACE阻害剤の脳保護作用のうち認知機能に対する効果について詳述する.
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