Japanese
English
Bedside Teaching
在宅酸素療法の災害時対応
Home Oxygen Therapy During Disasters
小林 誠一
1
,
矢内 勝
1
Seiichi Kobayashi
1
,
Masaru Yanai
1
1石巻赤十字病院呼吸器内科
1Department of Respiratory Medicine, Japanese Red Cross Ishinomaki Hospital
pp.251-254
発行日 2015年3月15日
Published Date 2015/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205662
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
慢性呼吸不全患者に対して,在宅で酸素吸入を行い,日常生活や社会活動を維持する治療を在宅酸素療法(HOT)と呼ぶ.現在,わが国でHOTを施行している患者は約十数万人と推定され,その約半数がCOPDである.
2011年3月11日の東日本大震災で,東北地方沿岸部では大きな被害を受けた.筆者らは宮城県石巻市で震災を経験したが,この地域は震災によって最も大きな被害を受けた地域の一つである.石巻医療圏(石巻市,東松島市,女川町)では,人口22万人(震災前)のうち死者・不明者は5,000人以上,津波による瓦礫量は300万トン以上にのぼった.筆者らの勤務する石巻赤十字病院は石巻市の内陸部に位置しており,幸いにも津波被害を受けることなく,周囲の医療機関がほぼ壊滅・診療停止したなかで震災直後より災害医療を担うことができた1〜4).
東日本震災では家屋のみならず,電気・水道・ガスなどのインフラが破壊され,交通網も途絶えた.その結果,多くのHOT患者が長期間にわたって酸素供給を断たれた.患者にとって酸素は生命維持に直接関与するものであり,その供給が停止することは生命の危機に直結する.そのため,この震災以降,大規模災害時における在宅酸素療法患者への対応に関心が集まるようになった5).本稿では,われわれの経験をもとに,在宅酸素療法患者への災害時対応について述べる.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.