Japanese
English
特集 急性心筋梗塞とその発症メカニズム
血管内視鏡からみた粥腫および血栓
Coronary Angioscopy Reveals Intracoronary Thrombus Formed on Atheromatous Plaques
朝倉 正紀
1
,
北風 政史
1
,
上田 恭敬
1
,
児玉 和久
2
,
堀 正二
1
Masanori Asakura
1
,
Masafumi Kitakaze
1
,
Yasunori Ueda
1
,
Kazuhisa Kodama
2
,
Masatsugu Hori
1
1大阪大学大学院医学系研究科病態情報内科学
2大阪警察病院心臓センター
1Department of Internal Medicine and Therapeutics Osaka University Graduate School of Medicine
2Division of Cardiology, Osaka Police Hospital
pp.775-778
発行日 1999年8月15日
Published Date 1999/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901942
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はじめに
急性心筋梗塞は,冠動脈内プラークの破綻をきっかけとして破綻部位に血栓形成が引き続いて起こることにより発症すると考えられている.プラークの破裂が関与した致死的冠動脈イベントとして初めて報告されたのは1844年にコペンハーゲンの王立劇場で突然死した有名彫刻家の解剖所見においてである1).1960年代半ば頃よりChap—manやConstantinidesらによりプラークの破裂と血栓の関係が指摘されるようになった2,3).1980年代半ば以降Daviesらをはじめとして冠動脈内プラークの破綻がきっかけとして血栓形成が起こることを報告し,突然死を含めた心血管イベントの発症にプラーク破綻が強く関与していることが広く認識され始めた4).
1992年にFusterは,不安定狭心症および急性心筋梗塞はプラークの破裂に引き続いて血栓形成が起こるという同一の機序により発症すると考え,acute coronary syndromeという概念を新たに提唱し5),この概念が急速に普及し現在世界で広く受け入れられるようになっている.
心血管イベントの発症には冠動脈内プラーク(粥腫)が重要であることが認知されつつある一方,実際の臨床の場においては,プラークの評価を把握するのは困難であった.近年における心血管内イメージングの発達により,臨床においてもプラークの評価が血管内超音波(intravascularultrasound;IVUS),冠血管内視鏡(coronaryangioscopy)を用いて可能となってきた.
本稿では急性心筋梗塞症における冠動脈内粥腫および血栓を中心に概説する.
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