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粥腫症に就て
皆見 省吾
1
1九州大學醫學部
pp.125-126
発行日 1947年5月1日
Published Date 1947/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200032
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緒言
粥腫症とはAtheromatosisの意味で,多數の粥腫が發生するのをいう。我々は本症に關して餘り意に介して居なかつたし,臨牀上斯る例を多發性毛包嚢胞症と診斷することが多い。併し組織的に差異があるため兩症を區別するのが至當である。尚今次の大戰以來或は終職後滿洲方面より歸京する人に嚢尾蟲症が屡々あつて,これは既往歴より凡そ判るが,時にはその不明なことがある故組織的に檢査せねば判らない。尚嚢尾蟲症には屡々少し深い所或は筋層内に占居する傾向がある。
愛須・増田兩氏は躯幹及四肢に於て270個の結節を有する例を擧げ,その中央に毛孔を認めるものもあるが,壓しても内容を洩さないで皮膚に密著し,組織上毛包に關係があつて毛包嚢腫に屬するという。この例は多發毛包嚢胞症に屬するかと思われる。
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