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特集 Drug-Eluting Stent―その問題点と展望
DESによる血栓症のリスクと管理上の問題点―血管内視鏡の立場から
Risk of Stent Thrombosis in DES:From angioscopic view point
上田 恭敬
1
Yasunori Ueda
1
1大阪警察病院循環器科
1Department of Cardiology, Osaka Police Hospital
pp.521-524
発行日 2007年5月15日
Published Date 2007/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100864
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ステント留置後の新生内膜形成過程
冠動脈内に留置されたBMS(bare metal stent)は3~6カ月の間にほぼ完全に新生内膜によって被覆され,血栓を認めることも非常に稀となる.また,一旦肥厚して白色化した新生内膜が3年後には菲薄化して透明になっていく(図1).この過程に伴って,留置時にステント下に存在していた黄色プラークも新生内膜によって被覆される.
急性冠症候群(ACS)責任病変の修復過程
急性冠症候群(acute coronary syndrome;ACS)の責任病変には破綻した黄色プラークと多量の血栓がみられる.このような責任病変は,発症後経時的に修復され,血栓源性も低下していくことが示されている.急性心筋梗塞の責任病変において,バルーンによる再灌流療法後の血栓の存在頻度をみると,1カ月後には64%と高頻度であるが,6カ月後には5%まで低下する(図2).この6カ月間に責任病変の黄色調は軽減し,一部は白色化する.また,責任病変にステントを留置することによって,新生内膜がステント下の破綻した黄色プラークをも被覆し,プラークの安定化を促進する可能性も示唆される.実際,6カ月後の時点で責任病変が白色化している頻度は,ステントを使用しない場合で14%であるのに対して,ステントを使用すると50%となる.
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