巻頭言
医師は医師らしく—名医の条件とは
半田 俊之介
1
1東海大学医学部内科学1
pp.111
発行日 1997年2月15日
Published Date 1997/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901412
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「名医がいなくなった.いや名医はもう必要がなくなった.」といわれる.“今日の医師はハイテク機器”に囲まれて診療を進める.「検査成績をみれば診断も治療方針も決まる.忙しい外来の3分診療では何も判断できない.」のである.治療も新しい積極療法に突っ走る傾向がある.日本人は流行りに敏感である.みんながやることは自分もやらないと気が済まない.“me-to-syndrome”とも呼ばれる.
今日の出来高払いの保険診療制度では,現病歴,背景因子などに時間をかけても,医療機関の経営面には意味がない.自動車の車検と同じように,“人間という機械”の故障の有無をハイテク機器を使った一律の流れ作業で徹底的に調べ上げる.得られた結果をみて判断するという傾向は否めない.必然的にhistory taking,physical examinationをきっちりとできる医師がいなくなる.
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