視座
トップの条件
赤松 功也
1
1山梨医科大学・整形外科
pp.1017-1018
発行日 1985年9月25日
Published Date 1985/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907253
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山梨医科大学整形外科の講座が開かれてこの四月で2年を迎えた.新設医大の味わう産みの苦しみはなお続いているが,ようやく体制みたいなものが出来上ってきた.そこでこの2年間,一体何に腐心してきたかを改めて想い起こしてみた.甲州は周知の如く武田軍団発祥の地である.それにあやかったわけでもないが,教室造りの最大の関心はやはり人を基盤とした組織作りにあった(それは今も続いているが).着任前の浪人時代,先人によるいろいろな本を読みあさってこれに具えてきたが,そのうちいくつかの語録に強く引かれるものがあった.それらをその都度拾い集めノートに記し,自らの反省の材料としてきた.今回「視座」執筆の依頼を機会にこのなかからいくつかを抜粋して自らの「視座」としてみた.
まずリーダーとしての心構えである.十八史略に有名な「鶏口となるも牛後となる勿(なか)れ」というのがあるが,トップは小さくてもやはり先端になくてはいけない.トップが肩身を狭くしていては部下達の気持ちは推して知るべしである.天声人語(S. 58. 11. 8付)は指導者の条件として①情熱,②責任感,③判断力を挙げ,松下幸之助氏は①使命感,②無私,③詩心(ロマン),④現実処理能力などが必要としている.松下氏の"ロマン"は心の余裕を説いたものでさすがと思う.
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