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はじめに
心臓核医学検査は,新しい放射性薬剤の開発とSPECT(single photon emission computed tomography),PET(positron emission tomogra—phy)など,RI計測機器の進歩を基盤として循環器病学における検査法として確立されてきた1〜3).PETは,その優れた物理学的特性から高分解能,高感度画像が得られ,かつ11C,15Oなど生体構成成分で標識したトレーサを用いた血流・代謝画像診断法として優れた特長を有している.しかし,サイクロトロンやPETカメラなど巨額の設備や多くの専門的スタッフを必要とするなど臨床検査法としては限界があり,現在,わが国で約20施設で稼動しているにすぎない.一方,SPECTは,PETに比し性能および定量性において劣るが,日常診療で用いることができる利点がある.最近,多検出器型SPECT装置の開発により高感度画像が得られるようになり,種々の散乱・吸収補正法により定量評価が可能になりつつある.また,SPECT用心筋代謝イメージング製剤の開発により,PETを用いた代謝診断法に近づきつつある(表1).
さらに,新しい手法としてPET用代謝イメージング製剤である18F-FDG(fluorodeoxyglu—cose)をSPECT装置を用いて画像化する18F—FDG SPECTが現実のものとなりつつある.本手法は,心筋viabilityのgold standardとして用いられている18F-FDG心筋PETに代わり,日常診療で大いに利用されるものと考えられる.したがって,今後の心臓核医学の分野ではPET, SPECTの境界は狭まり,PETからSPECTへの技術転換とともにE.T.(emission tomography)としての展開が期待される.
本稿では,当分野において重要な心筋血流・糖代謝イメージングにおけるこれらの展開を中心に解説する.
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