映画紹介
人間の条件
外輪 哲也
pp.47
発行日 1959年1月10日
Published Date 1959/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201796
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ベストセラー小説「人間の条件」(五味川純平著)の映画化.全六巻を三部に分けて制作するが,これはその一部.コンビの松山善三と小林正樹が脚色し,「壁あつき部屋」「あなた買います」「黒い河」の小林正樹が演出に当つている.
昭和18年,満州.梶と美千子は同じ勤め先で知り合つて結婚する.梶は反戦主義者で,戦争への疑問を抱いている.鉱山の労務管理をやつて知つたことは,工人が賃金をピンハネされ,あえぎながら働いていることや,飢餓状態の捕虜が,電流の通つた鉄条網の中に閉じ込められているといつた非人間的なことばかりだ.梶は食糧待遇をよくするが,それでも母親のために食糧を盗む中国人陳もいる.一方では娼婦の楊春蘭と高の間に純愛も芽生える.工人を連れ出してボロ儲けをしようとするのもいる.梶は忙しくて美千子とゆつくり語り合うことも出来ない.その内に,もと労務管理をやつていた古屋がそそのかし,工人の脱走事件が起きる.普段の非人間的なやり方に反感を持つていた工人の憤りの爆発.憲兵隊が出動して,次々に処刑して行く.「やめてくれ!」見かねて遂に叫んだ梶.死を覚悟して叫んだのだ.処刑は中止されたが,そのかわりに梶が猛烈なリンチを受けた.そして,釈放された時には,臨時召集令状が待つていた…….
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