Japanese
English
装置と方法
単離心筋細胞におけるCa2+ transientと細胞収縮の同時測定
Simultaneous Measurement of Ca2+ Transient and Cell Contraction in an Isolated Cardiac Myocyte
寺田 肇
1
,
加藤 秀樹
1
,
山崎 昇
1
,
山下 豊
2
,
林 秀晴
3
Hajime Terada
1
,
Hideki Katoh
1
,
Noboru Yamazaki
1
,
Yutaka Yamashita
2
,
Hideharu Hayashi
3
1浜松医科大学第三内科
2浜松ホトニクス(株)中央研究所
3浜松医科大学光量子医学研究センター
1The Third Department of Internal Medicine, Hamamatsu University School of Medicine
2Central Research Laboratory, Hamamatsu Photonics K. K.
3Photon Medical Research Center, Hamamatsu University School of Medicine
pp.999-1004
発行日 1995年10月15日
Published Date 1995/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901132
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はじめに
心筋細胞の収縮は,細胞内Ca2+がトロポニンCに結合することにより,トロポニン,トロポミオシンのアクチン二重ら旋に対する脱抑制を起こすことによる.つまり,一過性の細胞内Ca2+濃度([Ca2+]i)の上昇と下降(Ca2+transient)により,心筋細胞は収縮・弛緩のサイクルを繰り返してポンプとしての心臓機能に関与している.[Ca2+]iの測定には,NMR法1),イオン感受性電極法2),Ca2+感受性発光蛋白法3)(aequorin)が用いられてきた.これらの方法は摘出心標本や摘出心筋標本に適用され,同時に心内圧や発生張力を測定することにより[Ca2+]iと心筋収縮性の関係が研究されてきた.しかし,NMR法とCa2+感受性電極法は時間分解能が悪いため,急激な[Ca2+]i変化であるCa2+transientの測定は一般的には困難であった.また,Ca2+感受性発光蛋白法は,[Ca2+]i測定を表層細胞より行うが発生張力は標本全体から測定すること,Ca2+に対する感受性が低いため拡張期の[Ca2+]i測定が不十分であるなどの問題があった4).
近年,fura−2やindo−1などのCa2+感受性蛍光色素を用いた蛍光顕微測光法により[Ca2+]iの測定が可能となった5,6).これらのCa2+感受性蛍光色素は,Ca2+に対する感度が高く結合解離が早いため7),生理的条件下の単一心筋細胞のCa2+ transientを連続的に測定することが可能である.
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