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特集 細胞生物学実験マニュアル
細胞単離
血管内皮細胞単離法
Isolation of vascular endothelial cells
岡部 哲郎
1
Tetsuro Okabe
1
1東京大学医学部第三内科
pp.385-387
発行日 1986年8月15日
Published Date 1986/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904908
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■ 実験動物の選択
通常,実験に用いている血管内皮細胞は,ウシやブタの血管,およびヒトの臍帯静脈由来の場合がほとんどである。この三種の動物由来の血管内皮細胞は,それぞれin vitroで異なった性質を示すため,実験の目的に応じて,まず,動物の選択をする必要がある。大きな特徴は寿命である。ヒトおよびウシ由来の血管内皮細胞はその寿命が割合に短い。したがって,これらの動物由来の血管内皮細胞は,cell lineの樹立,cell cloningなどを行う必要のある実験などには適さない。これらの動物の血管内皮細胞は主にprimary cultureやshort-term cultureでの実験系に用いられている。とくにヒトの臍帯静脈由来の血管内皮細胞の寿命は短いので,実験のたびにprimary cultureを行うようなことになる。一方ブタ由来の血管内皮細胞は寿命が長い。われわれの研究室では,6年ほど前よりミニブタの大動脈,肺動脈,冠状動脈および脳底動脈より血管内皮細胞を分離し,cell cloningを行って,cell lineの樹立を行ってきたが,ブタの血管内皮は比較的cell lineになりやすく,cloneを分離することも可能である。分離したcloneはアンジオテンシン変換酵素などの血管内皮に特徴的な物質の産生能を保持しており,また染色体もdiploidのままであることが多い。
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