Japanese
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綜説
心筋の興奮収縮連関に関する最近の話題—Ca2+依存性Ca2+放出を中心に
Current Topics in Cardiac Excitation-contraction Coupling :Mechanism of Ca2+-induced Ca2+Release
佐藤 洋
1
,
林 秀晴
2
Hiroshi Satoh
1
,
Hideharu Hayashi
2
1浜松医科大学第三内科
2同光量子医学研究センター
1The Third Department of Internal Medicine, Hamamatsu Universitv School of Medicine
2Photon Medical Research Center, Hamamatsu University School of Medicine
pp.371-378
発行日 1998年4月15日
Published Date 1998/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901674
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興奮収縮連関を構成する要素
心筋の興奮収縮連関とは,心筋細胞の電気的興奮から収縮張力の発生までの一連の過程をさす.すなわち,刺激伝導系を通して電気的興奮が伝わると,心筋細胞膜の脱分極に続いて一過性の細胞質のCa2+濃度の上昇(カルシウムトランジェント:Ca2+transient)が起こる.増加したCa2+はトロポニンCに結合してミオシン頭部のATPaseを活性化し,アクチン,ミオシン間のスライディングを来して張力を発生する.
Ca2+transientは,細胞膜のL型Ca2+チャンネルを介するCa2+の流入と細胞内Ca2+貯蔵庫である筋小胞体(SR)からのCa2+放出の和による.心筋細胞においては,SR由来のCa2+量はCa2+流入の10〜65倍であり,Ca2+transientの大部分を構成する1).SRからのCa2+放出のメカニズムは,L型Ca2+チャンネル(あるいはdihy—dropyridine receptor:DHPR)を介して流入した微量のCa2+が引き金となり,SRのCa2+放出チャンネル(あるいはryanodine receptor:RyR)を刺激してCa2+放出を促す,Ca2+依存性Ca2+放出(Ca2+-induced Ca2+release:CICR)である2).
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