Japanese
English
特集 在宅酸素療法—最近の進歩
運動時desaturationの病態と対策
Pathophysiology and Management of Desaturation during Exercise
田口 治
1
,
飛田 渉
1
Osamu Taguchi
1
,
Wataru Hida
1
1東北大学医学部第一内科
1First Department of Internal Medicine Tohoku University School of Medicine
pp.425-430
発行日 1994年5月15日
Published Date 1994/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900858
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はじめに
健常人でも非常に高度な運動を行うと,呼吸筋の疲労1)やコンタクトタイム(肺胞内酸素が肺胞周囲の毛細血管中還元ヘモグロビンと接触する時間)の短縮に基づく拡散障害により,低酸素血症が起こり2),運動能の低下がみられることがある.このような場合には,酸素吸入が呼吸筋の疲労や低酸素血症の発現を防ぎ運動能の改善が認められる.しかしながら,一般的には健常人では運動すると動脈血酸素分圧は下がらないか,むしろ上昇する.
一方,COPD(慢性閉塞性肺疾患)やFLD(肺線維症)などの慢性呼吸器疾患を有する患者では,運動時にしばしば低酸素血症がみられ運動能の低下につながることが多い.本論文では健常人における運動時動脈血酸素分圧の生理的変化についてまず触れ,次いで上記疾患肺で運動時低酸素血症が生じる病態をはじめその対策,更には酸素吸入効果やその評価法などについて文献的考察やわれわれの経験を踏まえ述べることにする.
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