Japanese
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特集 呼吸調節—最近の話題
運動時換気応答の基礎と臨床
Basic and clinical aspects of ventilatory response to exercise
飛田 渉
1
,
進藤 千代彦
1
,
田口 治
1
,
櫻井 誠
1
,
三木 祐
1
,
滝島 任
1
Wataru Hida
1
,
Chiyohiko Shindoh
1
,
Osamu Taguchi
1
,
Makoto Sakurai
1
,
Hiroshi Miki
1
,
Tamotsu Takishima
1
1東北大学第一内科
1First Department of Internal Medicine, Tohoku University School of Medicine
pp.493-500
発行日 1987年5月15日
Published Date 1987/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205054
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はじめに
運動の本体は骨格筋の収縮と弛緩の反復作用である。筋細胞は直径1〜2μm長さ,数cmにおよび縞紋様を有する筋原線維,その周囲に筋原線維を囲んで縦に並んでいる筋小胞体,筋原線維に直角に走る横管系,さらにミトコンドリア等によって構成される。神経線維を介して刺激により細胞膜が脱分極を起こすとその興奮は横管系を通じて細胞内に伝達し,筋小胞体がその刺激を受けてCa++を遊離し,これがATPとMg++の存在のもとミオシンとアクチンの相互作用を調節し,筋の収縮をひきおこす。この筋収縮反応のエネルギー源であるATPは糖,蛋白,脂肪よりO2の存在下(好気的)または非存在下(嫌気的)に産生されるが,好気的条件下の方がはるかに有効にATP産生が行われる。かかるエネルギー代謝に必要なO2を摂取し,代謝の結果生ずるCO2を排泄する過程で外気と血管間とのガス交換(外呼吸),細胞レベルでのガス交換(内呼吸),さらに外呼吸と内呼吸を連絡しO2,CO2の運搬の役割をする循環の運動時における応答の検討は臨床的に極めて重要である。本稿では特に運動時の換気応答の点から著者らの成績をもとに述べる。
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