Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
COPD(chronic obstructive pulmonary disease)の領域に関しての最近の主要な話題の一つは,潜在的な有病率の高さと疾患への一般の理解がなかなか進まないことに関したものである1). 住民レベルでスクリーニングした場合は8.5%, さらに60歳以上では12.2%,70歳以上では17.4%と,実は驚くほど有病率は高率である2).原因がタバコと判明している状況下,なぜタバコ販売がもっと規制されないのか医学的にみれば不思議というほかないが,その話題はさておき,GOLD(Global Initiative for Obstructive Lung Disease)3)をはじめとしたCOPD管理のガイドラインでは,禁煙が第一の方針であり最も重要な介入であるとされ,進行予防のためにいかに早期にCOPDを発見するかが重要課題として掲げられた.奇しくも,呼吸生理学のこれまでの歴史は,COPDの早期検知と密接に関係しあっており,肺機能検査は早期検知の重要手段となるべきものとして常に位置づけられてきた.
筆者は最近,「日常診療に活かす肺機能検査」4)と題した本誌の総説のなかで主にCOPDの肺機能とその早期発見などプライマリーケアにおいて非常に大切な問題について触れさせていただいた.実際,COPDの早期発見はリスクを持った個々人に対して早期に肺機能検査を実施するということに尽きると思われる.本小論では,さらに一歩進んで,これらの背景にあるCOPDの呼吸生理学的な二,三の事項について解説を試みた.先に発表した総説と多少重なる部分もあるが,同じような解説にならないようにしたので, 初歩的な事項については先の総説を参考にしていただければ幸いである.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.