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類似の心筋肥厚および左室流入様式を呈した肥大型心筋症(HCM)の一家系の5症例を経験し,その臨床的背景と意義について検討した.HCMでは,第一度近親者においてさえも心筋肥厚パターンの類似する症例は低率であるが,本家系の5症例はいずれも左室前壁から心室中隔に限局する肥厚様式を示した.一方,HCMの左室流入血流速波形(LVIF)は,「拡張早期波のピーク速度の減高とピークからの減速時間の延長および心房収縮期波のピーク速度の代償的増高」を示すことが多いが,本家系の5症例はいずれも拡張中期波の存在する三峰性パターンを示した.このようなLVIFパターンを呈するHCM例では,左室弛緩障害に加えて左室コンプライアンスも著明に低下しており,その拡張障害の内容はきわめて特殊であると思われた.さらに,いずれの例も左室心筋の肥厚部位がほぼ同一であることをも加味すると,本家系の5症例の左室心筋特性はきわめて類似していることが示唆され,HCMの遺伝形式を解明するうえで重要な手がかりになると思われた.
We examined, in one family, 5 cases of hypertrophic cardiomyopathy (HCM) with a similar pattern of left ventricular inflow (LVIF) and distribution of hypertro-phy. Its clinical background and significance were discussed. Because a variety of morphologic expres-sions of HCM may be observed in the same family, distribution of left ventricular hypertrophy (LVH) varies in even first-degree relatives of the family. In all five cases in this study, however, LVH was localized between the anterior wall and the interventricular se-ptum.
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