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特集 肺気腫―最新の研究成果と今後の方向性
肺気腫における気道炎症とサイトカイン
Airway Inflammation and Cytokine Expression in COPD
室 繁郎
1
Shigeo Muro
1
1京都大学医学部附属病院呼吸器内科
1Department of Respiratory Medicine, Kyoto University Hospital
pp.437-440
発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100649
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GOLD(global initiative for chronic obstructive lung disease)のworkshop reportの定義によると,COPD(chronic obstructive pulmonary disease)は完全に可逆的ではない気流制限を特徴とする疾患であり,この気流制限は通常進行性で,有害な粒子またはガスに対する異常な炎症反応と関連しているとされる.COPDは,慢性気管支炎と肺気腫を含み,病理学的には,前者においては杯細胞化形成,粘液の過分泌,後者においては肺胞隔壁の破壊が特徴である.
COPDにおける気道炎症,あるいは肺胞の破壊が同一の病因から発生するかどうか未だ解決されていない問題ではあるが,組織に遊走した炎症細胞は各種プロテアーゼ,成長因子,サイトカインなどを分泌することによって,肺胞壁の破壊と杯細胞の増生,気道の過剰分泌などといった慢性気道炎症の病態を形成し,リモデリングの結果,非可逆的な気流閉塞をもたらすと考えられている.
COPDにおける優位な炎症細胞は好中球,マクロファージ,CD8陽性Tリンパ球であるとされ,これらの遊走に関与するTNF-α,MCP-1,IL-8などがCOPDの病態に深くかかわっていると考えられている.
本稿では,COPDの炎症に強く関与していると考えられているこれらのサイトカイン・ケモカインについて概説する.
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