巻頭言
心筋症の病因解明の新しい展開—骨格筋から心筋へ
田中 弘允
1
1鹿児島大学医学部第一内科
pp.303
発行日 1991年4月15日
Published Date 1991/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900249
- 有料閲覧
- 文献概要
ミオパチーなどの骨格筋病変に関する研究は,心筋症における心筋病変に関する研究に比べて一般に進んでいると思われる.それは,病態生理学的側面では目立たないが,病理学的,生化学的,病因的側面では顕著である.研究上有利な点の1つは,骨格筋が解剖学的にみてより到達しやすいことがあげられよう.
さて,神経筋疾患が心筋疾患を伴うことは古くから知られていた.その代表例は,Duchenne型進行性筋ジストロフィーである.これは伴性劣性遺伝の疾患で,2〜5歳で発症し骨格筋が進行性に侵される重篤な筋ジストロフィーであるが,同時に心筋障害を伴っている.骨格筋の病変としては,変性,壊死,線維化などが観察されているが,心筋の病変も変性,線維化などがみられる.心筋病変がほとんどの例でみられることに加えて,形態学的な類似性から両者は同一の病変であろうと考えられて来たが直接的証拠はなかった.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.