Japanese
English
綜説
エンドセリンと肺
Endothelin and Lung
岡部 哲郎
1
Tetsuro Okabe
1
1東京大学医学部第3内科
1The Third Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine
pp.304-310
発行日 1991年4月15日
Published Date 1991/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900250
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血管内皮細胞は,血液と血管壁の間の物理的隔壁として肺胞でのガス交換などの物質透過性を刺激する場である.一方,血管内皮細胞はプロスタグランディンやプラスミノーゲンアクチベーター,アンギオテンシンⅡなど種々の生理活性物質の産生や代謝を行っており,それらは肺を含めいろいろな臓器の特異的な機能と密接に関連している.1988年の柳沢,真崎ら1)によってブタの血管内皮細胞の培養液中から新しい血管収縮性ペプチド,エンドセリンendothelin(ET)の発見は,vascular biologyの研究に大きな発展をもたらしつつある.ETはアンギオテンシンⅡなどに比べてより強力でかつ持続の長い血管収縮をもたらす.また,最近では,3種類のETが存在することが判明し2),さらにこれらのETは単に血管系でなく,脳を含め多くの臓器実質細胞での産生が確認されている.また,これらのETの受容体の分布もきわめて広く多くの組織にわたっている.このことからETは単に血管収縮ペプチドとしてではなく各種の臓器の機能に直接関与していると考えられる.
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