Japanese
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特集 心筋Viabilityの評価
冠動脈内血栓溶解療法からみた心筋Viability
Viability in ischemic myocardium treated with intracoronary thrombolysis
宮崎 俊一
1
,
平盛 勝彦
1
Shunichi Miyazaki
1
,
Katsuhiko Hiramori
1
1国立循環器病センター心臓内科
1Department of Internal Medicine, National Cardiovascular Center, Cardiac Division
pp.217-221
発行日 1990年3月15日
Published Date 1990/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900107
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はじめに
1979年Rentropらによって急性心筋梗塞症の症例に対して冠動脈内にStreptokinaseを注入して冠動脈内血栓を溶解する試みがなされて以来1),日本でもUroki-naseを用いた冠動脈内血栓溶解療法(Intra-CoronaryThrombolysis:ICT)が行われるようになってきた。この治療法の目的は心筋梗塞発症早期に冠動脈血流を再開させ,壊死に陥りかかった心筋を蘇らせて壊死巣を縮小させることにある。これにより慢性期心機能の改善,心筋梗塞症に伴う合併症の減少,予後の改善を期待するものである。
心筋梗塞発症の機序に関しては,血栓が一次的に冠動脈を閉塞するという血栓一次説と,冠動脈がなんらかの原因で閉塞した後に二次的に血栓が生じるとする血栓二次説がある。しかし一次的にせよ二次的にせよ,急性心筋梗塞発症直後に責任冠動脈内に血栓が存にし,冠血流を妨げていることにちがいはない。DeWoodらは発症から4時間以内の症例の87%では責任冠動脈は完全閉塞しており,緊急バイパス術を施行した59例中52例に血栓を確認したと報告している2)。したがって,この治療法は急性心筋梗塞症は一次的にせよ二次的にせよ,冠動脈内に血栓が存在し,これにより阻害されている冠動脈血流を再開通させるという考え方に基づいている。
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