連載 症例で学ぶ非結核性抗酸菌症・3
肺MAC症の治療について②
朝倉 崇德
1
,
長谷川 直樹
2
,
小川 賢二
3
,
中川 拓
3
,
高崎 仁
4
,
森野 英里子
4
1慶應義塾大学医学部呼吸器内科
2慶應義塾大学医学部感染制御センター
3国立病院機構東名古屋病院呼吸器内科
4国立国際医療研究センター病院呼吸器内科
pp.276-281
発行日 2016年3月15日
Published Date 2016/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205922
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症例:60代,女性.
現病歴:X−3年に検診の胸部X線で異常陰影を指摘され,呼吸器内科を受診した.胸部CTでは中葉舌区を中心に粒状影,軽度の気管支拡張がみられたが,呼吸器症状はなく経過観察とされた(図).経過観察中のX−2年,X−1年の喀痰培養で計2回MAC(Mycobacterium avium complex)が陽性となり,肺MAC症と診断された.症状はなく胸部X線画像での変化も乏しかったため半年毎の受診とされていた.半年ぶりの受診時に,X−3カ月頃より,咳・痰の頻度が徐々に増悪し,2kgの体重減少があることがわかり,同日撮影した胸部X線・CT上も増悪がみられた(図).同日に一般細菌・抗酸菌の喀痰培養を提出し,帰宅した.2週間後の外来受診時,喀痰培養では一般細菌は常在菌のみであり,抗酸菌の塗抹は陽転化したため,治療を勧めることとした.
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