Japanese
English
綜説
PD-1/PD-L1シグナルを標的とした免疫療法
Immunotherapy Targeting PD-1/PD-L1 Signaling Pathway
岩井 佳子
1
Yoshiko Iwai
1
1産業医科大学医学部分子生物学講座
1Department of Molecular Biology, School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health, Japan
pp.282-287
発行日 2016年3月15日
Published Date 2016/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205923
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はじめに
免疫チェックポイント阻害剤の登場でがん免疫療法は飛躍的に発展し,がんに対する治療戦略そのものが大きく変わりつつある.世界に先駆けて2014年に本邦で製造販売が承認されたPD-1抗体nivolumabをはじめとする免疫チェックポイント阻害剤はこれまでのがん免疫療法に対する評価を一変させ,有望な治療法として期待されている1).2015年のアメリカ臨床腫瘍学会(ASCO)ではImmuno-Oncology関連演題が204題を数え,がん免疫療法一色となった.
免疫システムには,免疫系を活性化するアクセルと抑制するブレーキが存在する.従来のがん免疫療法がアクセルを踏むことに重点を置いてきたのに対して,発想を転換して,ブレーキ解除により免疫系のアクセルが入るようにしたのが免疫チェックポイント阻害剤である2).免疫チェックポイント分子としては,PD-1やCTLA-4などが知られている.
本稿では,PD-1/PD-L1シグナルに焦点を当てて,がんが宿主の免疫システムから逃れるメカニズムについて概説し,PD-1/PD-L1抗体による抗がん作用機序について概説したい.またPD-1とCTLA-4による作用機序の違いについても論じたい.
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