連載 症例で学ぶ非結核性抗酸菌症・11
CAM耐性肺MAC症について
森本 耕三
1
,
星野 仁彦
2
,
長谷川 直樹
3
,
倉島 篤行
1
1結核予防会複十字病院呼吸器内科
2国立感染症研究所ハンセン病研究センター感染制御部
3慶應義塾大学医学部感染制御センター
pp.360-366
発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1437200045
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
症例1 57歳女性
200X年Y月に気管支鏡で肺MAC症と診断された(図1a).同年Y+1月よりクラリスロマイシン(CAM),エサンブトール(EB),リファンピシン(RFP)の3剤による治療が開始されたが1週間以内に視力異常の訴えがあり,EBが中止され,その2週間後にCAM,RFPも中止となった.200X+3年Y月より陰影の増悪があり,EBを除いたRFP,CAM,ストレプトマイシン(SM)(SMは2カ月)が再開された(図1b).しかし,陰影は悪化傾向を示し,200X+5年Y−3月に急速に悪化したため当院へ紹介となった(図1c).
●入院後の経過
経過からCAM耐性を疑い〔のちブロスミックNTM(極東製薬工業)にて耐性を確認〕,アミノグリコシド系抗菌薬を追加し治療強化を行いつつ外科医と連携し3カ月後の手術を計画した.しかし,1カ月後に陰影が中葉,舌区に拡大したため,その2週間後に手術を行った(図2a).術後はアミノグリコシド系抗菌薬による点滴を6カ月併用した.喀痰の抗酸菌は陰性化し,陰性化後2年で治療を終了とした(図2bは術後1年後のCT画像).
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.