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症例 60代男性,175cm,60kg(図1〜7)
【現病歴】X−2年に肺MAC(Mycobacterium avium complex)症(M. avium)と診断され無治療経過観察中であった.X−1年8月および同年12月の胸部CTにおいて右下葉に空洞影とその周囲の陰影の増悪傾向を認め,肺MAC症の増悪が疑われた.同時期より37℃台の発熱および咳嗽を認め,X年1月の胸部CTで右肺野優位の気道散布性陰影およびすりガラス陰影,浸潤影の新たな出現を認め入院した.身体所見や血清学的に膠原病を示唆する所見は得られなかったが,肺MAC症単独の画像所見の推移としては非典型的と考え,第8病日に主にすりガラス陰影に対する原因精査目的で気管支鏡検査を施行した.気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid;BALF)の肉眼的所見からは肺胞出血は否定的で,細胞分画ではリンパ球優位(65.5%)の細胞数増多およびCD4/CD8比高値(7.4)を示した.経気管支肺生検では,リンパ球主体の炎症細胞浸潤とその周囲の類上皮肉芽腫を認めた.気管支洗浄液の抗酸菌塗抹検査は陽性でMAC-PCR(M. intracellulare)陽性が判明し,すりガラス陰影は肺MAC症が主体と判断した.検査翌日より,クラリスロマイシン(CAM)+リファンピシン(RFP)+エタンブトール(EB)による治療を開始して第15病日に退院した.その後,気管支鏡検査より得られた検体のすべてより抗酸菌培養でM. intracellulareが検出された.治療開始後の胸部X線,胸部CTでの陰影は経時的に改善傾向にあり,喀痰抗酸菌培養は陰性化して経過良好である.
【既往歴】2型糖尿病(X−18年〜,腎症あり),慢性腎臓病(G3A3),高血圧症,狭心症(X−3年).
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