Japanese
English
特集 呼吸器疾患における慢性炎症を考える
慢性炎症とfibrocyte
Fibrocytes and Chronic Inflammation
後東 久嗣
1
,
青野 純典
1
,
三橋 惇志
1
,
西岡 安彦
1
Hisatsugu Goto
1
,
Yoshinori Aono
1
,
Atsushi Mitsuhashi
1
,
Yasuhiko Nishioka
1
1徳島大学大学院医歯薬学研究部呼吸器・膠原病内科学分野
1Department of Respiratory Medicine and Rheumatology, Institute of Biomedical Sciences, Tokushima University Graduate School
pp.149-155
発行日 2016年2月15日
Published Date 2016/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205901
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はじめに
1994年Bucalaは,末梢血からFicoll比重遠心法で回収した単核球分画のなかに単球とは異なる線維芽細胞に似た紡錘形の付着細胞を見出し,fibrocyteと命名した1).その後の解析から,fibrocyteは末梢血白血球の0.1〜0.5%に存在する単球由来の線維芽細胞の前駆細胞として認識されている.Fibrocyteは当初,その名前の通り線維化に関わる細胞として,創傷治癒や組織線維化病態においてその機能が解析されてきた.しかし,近年の研究により,fibrocyteはコラーゲン産生などで直接的に線維化に関与する細胞というよりはむしろ,様々なサイトカイン/ケモカインや増殖因子を産生する炎症細胞として疾患病態に関わることが分かってきている.このことから,慢性炎症が関わる様々な病態にfibrocyteが関係していることが考えられるが,本稿では肺線維症と肺癌に焦点を当て,これらの疾患における炎症細胞としてのfibrocyteの役割について考察する.
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