特集 消化管の画像診断―US,CT,MRIの役割
各論
US,CT,MRIを使った診断(精密検査)と治療効果の判定
6.大腸
2)炎症
②慢性炎症
櫻井 俊弘
1
,
大原 次郎
1
,
大田 恭行
1
,
松井 敏幸
1
,
中林 正一
1
,
坂口 正剛
1
,
八尾 恒良
1
1福岡大学筑紫病院消化器科
キーワード:
炎症性腸疾患
,
US
,
CT
,
MRI
Keyword:
炎症性腸疾患
,
US
,
CT
,
MRI
pp.421-430
発行日 1999年2月26日
Published Date 1999/2/26
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102993
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
要旨 炎症性腸疾患のUS診断は腸管拡張,壁肥厚の程度,層構造,潰瘍を示唆する多重エコー,腹水の評価が主体である.Crohn病ではUS上の壁肥厚の程度や腸壁各層の描出状態はX線検査による隆起病変の程度と関連がみられた.3D-CTでは内視鏡で観察不能な部位の腸管内面の画像を作成することは比較的容易であるが,診断に寄与する画像情報を得るためには,画像構成の修練が不可欠であり,画像の解像度も十分ではない.MRIで消化管病変が検出できるのは病変が十分に大きい場合や壁の肥厚が顕著な場合に限られ,炎症性腸疾患の診断に空間分解能の低いMRIが主役を演じることはない.現在のところ微細な病変に対するUS,CT,MRI検査の診断能は満足できる水準にない.ただし,X線や内視鏡で表現できない変化を描出できることもあり,これらの検査の特性を知り,X線および内視鏡検査との組み合わせにより,疾患の認識が深まり,治療の向上に寄与できるものと思われる.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.