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特集 間質性肺炎治療法の新展開
イマチニブ(グリベック®)
Imatinib(Glivec®)
西岡 安彦
1
,
青野 純典
1
,
東 桃代
1
,
岸 潤
1
Yasuhiko Nishioka
1
,
Yoshinori Aono
1
,
Momoyo Azuma
1
,
Jun Kishi
1
1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部呼吸器・膠原病内科学分野
1Department of Respiratory Medicine and Rheumatology, Institute of Health Biosciences, University of Tokushima Graduate School
pp.389-395
発行日 2010年4月15日
Published Date 2010/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101459
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はじめに
癌をはじめとする分子標的治療薬の開発が進み,増殖因子レセプターや細胞内シグナル伝達分子に対する標的治療が臨床の場で展開されている.一方,特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis;IPF)は有効な治療法がなく予後不良の難治性疾患である.近年,肺線維化の分子病態解析から新たな抗線維化療法のターゲット分子が徐々に明らかとなってきた1).このような経緯から,線維化関連分子に対して阻害活性を有する癌分子標的治療薬を選別し抗線維化効果を検討するアプローチが,抗線維化薬開発の現実的な手法の一つとして注目されている.イマチニブ(グリベック®)は,臨床の現場で使用されている,あるいは臨床試験段階にある分子標的治療薬のなかで,このような観点から抗線維化効果が検討された最初の薬剤である2).肺線維症に対する臨床的エビデンスの構築が今後の課題ではあるが,本稿ではイマチニブの抗線維化効果に関する前臨床データと今後の展望について述べたい.
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