Japanese
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特集 LAMに対するシロリムス療法の実用化時代を迎えて
シロリムスとエベロリムスの薬剤性肺障害
Sirolimus-and Everolimus-induced Lung Injury
石井 寛
1
,
渡辺 憲太朗
1
Hiroshi Ishii
1
,
Kentaro Watanabe
1
1福岡大学医学部呼吸器内科
1Department of Respiratory Medicine, Faculty of Medicine, Fukuoka University
pp.1161-1165
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205859
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はじめに
日本では,2014年7月にリンパ脈管筋腫症(lymphangioleiomyomatosis;LAM)に対する効能・効果でシロリムス(sirolimus:ラパマイシン)が薬事承認され,ノーベルファーマ社が「ラパリムス®錠1mg」を販売している.LAMに対するシロリムスの国際共同試験(MILES試験)およびラパリムス®錠の国内医師主導治験(MLSTS試験)においては,本薬剤が原因と考えられた間質性肺疾患が2.8%に生じた.
エベロリムス〔everolimus:アフィニトール®,サーティカン®(いずれもノバルティスファーマ社)〕はシロリムスの薬理動態を改善するために開発されたシロリムスの誘導体(ラパログ)である.アフィニトール®錠は抗悪性腫瘍剤として腎細胞癌や乳癌などに適応があるほか,結節性硬化症に伴う腎血管脂肪腫や上衣下巨細胞性星細胞腫が適応疾患となっている.現時点でLAMは適応外であるが,結節性硬化症における検討では薬剤性間質性肺疾患の発症頻度は1.3%と,シロリムスよりも少ない傾向であった.
本稿では,シロリムスとエベロリムスによる薬剤性肺障害について,最近の報告例に基づいて概説する.
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