Japanese
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特集 LAMに対するシロリムス療法の実用化時代を迎えて
シロリムスの副作用とその対策
Sirolimus Adverse Effects and Their Management
高田 俊範
1
Toshinori Takada
1
1新潟大学医歯学総合病院魚沼地域医療教育センター
1Uonuma Institute of Community Medicine, Niigata University Medical and Dental Hospital
pp.1177-1181
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205861
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はじめに
リンパ脈管筋腫症(LAM)は,主に妊娠可能年齢の女性が罹患する稀な進行性囊胞性肺疾患である.LAMは,結節性硬化症(TSC)に伴って発生するTSC-LAMと,単独で発生する孤発性LAMとに分類され,血管筋脂肪腫(AML)を合併することもある.LAMでは,LAM細胞という平滑筋様細胞が肺で増殖し蛋白分解酵素を産生するため,肺が破壊されて囊胞を形成する.また,LAM細胞は肺内で転移しそれぞれの転移巣で囊胞を形成するため,緩徐に肺機能が低下し呼吸不全に陥る.LAM細胞では,mTOR(mammalian target of rapamycin)という蛋白の働きを抑制するツベリンあるいはハマルチンに異常がみられる.これらの異常によりmTORが無制限に働き,LAM細胞が増殖を続けることでLAMを発症する1).
シロリムスはマクロライド系抗生物質の一つで,mTOR蛋白の働きを抑制する.本薬剤は,従来,臓器移植や骨髄移植の際にみられる拒絶反応の予防に用いられてきた.平成26年7月,本邦において,シロリムスはLAMを適応疾患として世界で初めて薬事承認を受け,同年12月22日には販売が開始された.本稿では,特にLAMを治療する際に留意すべきシロリムスの副作用について解説する.
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