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特集 LAMに対するシロリムス療法の実用化時代を迎えて
LAMに対するシロリムスの長期投与効果
Long Term Effects of Sirolimus for LAM
井上 義一
1
Yoshikazu Inoue
1
1国立病院機構近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター
1Clinical Research Center, National Hospital Organization Kinki-Chuo Chest Medical Center
pp.1155-1160
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205858
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はじめに
リンパ脈管筋腫症(LAM)は,妊娠可能年齢の女性に好発する慢性,進行性全身性の稀少疾患である.これまで原因不明,有効な治療がない疾患とされてきた1).
LAMは結節性硬化症(TSC)に合併する遺伝性と,非遺伝性の孤発性LAMに分類されるが,TSC患者の疾患関連遺伝子研究から,16番染色体上のTSC2遺伝子,9番染色体上のTSC1遺伝子が同定され,TSC合併LAMではTSC1,TSC2遺伝子の生殖細胞系列変異の異常が原因と考えられ,孤発性LAMではLAM細胞のTSC2遺伝子体細胞突然変異が原因と考えられている.TSC1とTSC2の変異はmTOR1系(PI3キナーゼ/S6K1)の亢進を来しLAM細胞の増殖,細胞サイズの異常に至ることが明らかにされている1).mTOR阻害剤であるシロリムス,エベロリムスはLAMの治療薬として,種々の臨床試験が実施された2〜4).そのうちわが国で実施されたのが,「リンパ脈管筋腫症に対するシロリムスとプラセボ無作為二重盲検比較多施設国際共同試験(MILES治験)」と「リンパ脈管筋腫症に対するシロリムス投与の安全性に関する多施設共同治験(MLSTS治験)」である3,4).
本稿では,シロリムス投与の効果について,MILES試験,MLSTS試験の結果を中心に,さらにその他の成績について概説する.なお,MLSTS試験のデータは,現在,未発表で論文を準備中である(2015年10月時点).そこで,医薬品医療機器総合機構(PMDA)で公開されているラパリムス製造販売承認申請書添付資料に掲載され,承認時に使用された1年間の成績を紹介する.
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