Japanese
English
特集 リンパ脈管筋腫症(LAM)の新展開
LAMの病因論
Pathogenesis of LAM
瀬山 邦明
1
Kuniaki Seyama
1
1順天堂大学医学部呼吸器内科
1Department of Respiratory Medicine, Juntendo University School of Medicine
pp.1201-1210
発行日 2010年12月15日
Published Date 2010/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101590
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はじめに
リンパ脈管筋腫症(lymphangioleiomyomatosis;LAM)は,平滑筋細胞様の形態を示すLAM細胞が肺,体軸リンパ節(肺門・縦隔,後腹膜腔,骨盤腔など)で増殖して病変を形成し,病変内にリンパ管新生を伴う疾患である.病理学的には,LAM細胞の増殖とともに,VEGFR-3やD2-40などのリンパ管内皮細胞に特異性の高いマーカーで陽性となる脈管腔が豊富に存在することに特徴付けられる.また,特徴的な臨床像として,乳び漏(乳び胸水,乳び腹水,乳び喀痰,乳び尿,経膣乳び漏)や,リンパ浮腫などのリンパ管系機能障害を生じる難治性疾患である1).
結節性硬化症(tuberous sclerosis complex;TSC)の病因遺伝子が同定されてから急速にLAMの病因,病態についても展望が開けた.現在では,LAM細胞はTSC遺伝子変異により形質転換した腫瘍細胞と考えられ,肺や体軸リンパ節で増殖し,慢性の経過でゆっくりと不可逆的に進行する腫瘍性疾患と捉えられるようになった.最近,TSCに合併することの多いMMPHやPEComaにおいてもTSC遺伝子異常が見出され,TSC関連病変の分子病態に新たな展開がみられている.本稿では,TSC遺伝子異常を共有し,LAMに合併しうるMMPHやPEComaについても解説する.
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