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特集 リンパ脈管筋腫症(LAM)の新展開
LAMの内科的治療と管理―わが国の手引きと欧州呼吸器学会ガイドライン
Medical Treatments and Managements of Lymphangioleiomyomatosis─The Japanese Guide and the European Respiratory Society Guideline
井上 義一
1
Yoshikazu Inoue
1
1国立病院機構近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター呼吸不全・難治性肺疾患研究部
1Department of Diffuse Lung Diseases and Respiratory Failure, Clinical Research Center, National Hospital Organization Kinki-Chuo Chest Medical Center
pp.1217-1224
発行日 2010年12月15日
Published Date 2010/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101592
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はじめに
リンパ脈管筋腫症(LAM)は,妊娠可能年齢の女性に発症する慢性,進行性全身性の稀少疾患である.孤発性に発症する場合(S-LAM)と,遺伝性(常染色体優性遺伝)疾患である結節性硬化症に伴う場合(TSC-LAM)に分類される.
LAMは2003年,厚生労働省難治性疾患克服研究事業調査対象疾患に指定され,呼吸不全に関する調査研究班による調査研究が始まった.2003年,全国の医療施設に対するアンケート調査が行われ,173人のLAM患者の臨床像が報告された1).その後,LAMの診断基準2)および,治療と管理の手引き3)が相次いで発行された.海外では2010年,欧州呼吸器学会(ERS)から「LAMの診断と管理のガイドライン」4)が発刊された.さらに,現在アメリカ胸部疾患学会(ATS),ERS,日本呼吸器学会合同で国際ガイドラインの準備が進み,最新の研究成果や臨床試験の結果が反映されるものと期待されている.
以下,本稿では,LAMの標準的な内科的治療法について,わが国の「LAMの治療と管理の手引き」のなかから内科的治療に必要と思われる項目を一部私見も交えて紹介し,ERSによるガイドラインの該当部分の推奨内容を付記した.また,わが国の手引きには含まれていないが,ERSガイドラインで重要と思われる推奨項目も紹介した.ERSガイドラインでは推奨レベルをスコア化し,Grade A(最も強力)からGrade D(最も弱い),そしてGrade I(結論に至らず)に分類している.併せて付記した.
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