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特集 スタチン投与後のレジデュアル・リスク
新規バイオマーカーとしての期待LR11—冠動脈疾患を中心に
LR11, A Novel Biomarker of Coronary Artery Disease
荻田 学
1
,
武城 英明
2
Manabu Ogita
1
,
Hideaki Bujo
2
1順天堂大学循環器内科
2東邦大学医療センター佐倉病院臨床検査部
1Department of Cardiovascular Medicine, Juntendo University School of Medicine
2Department of Clinical Laboratory Medicine, Toho University Medical Center Sakura Hospital
pp.852-856
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205782
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はじめに
近年,内膜血管平滑筋の新たなバイオマーカーとしてLR11が注目されている1).LR11とはLDL受容体と遺伝子構造を共有するリポ蛋白受容体で,正常血管壁には発現しないが動脈硬化巣の内膜平滑筋細胞に特異的に発現する(図1).LR11は平滑筋細胞膜に結合して存在するだけでなく,放出可溶型として細胞外に多く放出され,平滑筋細胞膜上のウロキナーゼ受容体と複合体を形成し,細胞外マトリックスを分解し,平滑筋細胞の遊走能を促進する(図2).動物実験ではLR11欠損マウスやLR11中和抗体を用いてLR11を機能的に欠損させると,カフ傷害による内膜の肥厚が抑制されることや,可溶型LR11がウロキナーゼ受容体を介したマクロファージの脂質の取り込みを調整していることも確認されている2).またヒトでは可溶型LR11が脂質代謝異常者の頸動脈の内膜肥厚の独立したバイオマーカーであることが報告されている3).本稿では冠動脈疾患患者でのLR11の臨床的意義について概説する.
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