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新規バイオマーカーであるオートタキシンの臨床的有用性
佐藤 雅哉
1
,
池田 均
1,2
1東京大学大学院医学系研究科臨床病態検査医学分野
2元浅草いけだクリニック内科・消化器/肝臓内科
pp.775-777
発行日 2019年7月1日
Published Date 2019/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207613
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はじめに
オートタキシン(autotaxin:ATX)は血漿中に存在するリゾホスホリパーゼDである.細胞運動促進作用をはじめとする,多彩な生理活性を有するリゾホスファチジン酸(lysophosphatidic acid:LPA)産生における重要な酵素である.もともとは1992年にヒト悪性黒色腫株であるA2058の培養上清より単離された糖蛋白質であり,当初より腫瘍細胞の運動を促進させる作用をもつ因子として,癌の転移や浸潤に関与する可能性が示唆されていた.さらにATXがもつLPA産生能が明らかになったことにより,癌や組織の線維化,血小板凝集などとの関連性についても,生体内での機能解析が急速に進められることとなった.現在,ATXはさまざまな疾患のバイオマーカーとしての役割の他,疾患の治療標的としても注目されている.本稿では,肝線維化を中心に,これまで明らかになっているATXの臨床的有用性について述べる.
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