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あとがき
巽 浩一郎
pp.600
発行日 2015年6月15日
Published Date 2015/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205732
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呼吸器疾患領域においても,種々の新薬が認可されているが,一朝一夕に認可に至ったわけではない.膨大な基礎研究の積み重ねのなかから,候補物質が浮かび,ほとんどは消えていき,しかしわずかに残った候補から新薬が生まれてくる.ご存知のように,認可に至るまでの臨床試験では,どのような病態に適用可能かを含めた適正使用の問題までなかなか踏み込めていない.新規薬剤が認可された後も,高額な医薬品の適正かつ効果的な使用につながる,医療費の適正化を図る治療効果エビデンス構築が継続的に必要になる.一方,各病態を反映した新規疾患モデルの開発,種々病態に治療薬として使用しうる可能性のある標的分子の研究(創薬シーズの探索)は,病態解明とも絡んで重要になる.探索と適正使用の両輪が必要になる.本特集号では,呼吸器疾患として,喘息・COPD・特発性肺線維症・肺癌を病名として採り上げているが,どれ一つを考えてみても,病態は一つの経路では説明できず,複雑な分子機序が絡み合い成立している.「細胞老化」「活性酸素」「EMT」「microRNA」は疾病を繋ぐ横の糸になる.この時点でのキーワードは,時代の潮流に従いさらに進化していくと推定される(図).
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