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あとがき
巽 浩一郎
pp.596
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102251
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「喘息」という病名は,医療関係者のみならず広く国民にも知られた病名である.しかし,喘息は難治性疾患であり,症状のコントロール(care)は可能であるが,治癒(cure)は望めない.喘息の「遺伝素因」は変えられないからである.重症喘息において「GWASによる疾患感受性遺伝子の検索」が行われているが(檜澤論文),そこで改めて考えさせられたことは,喘息は一つの病気ではなく「多因子疾患」であることである.数多くの遺伝子が関与しており,難治性喘息の分子病態解明には更なる探求が必要である.喘息イコール「気道炎症性疾患」という一つの病態枠で捉えるのでは十分でなく,主に「喫煙」(浅井・平田論文)が誘因となる「COPDとのoverlap」(長谷川・室論文),「肥満」・「睡眠時無呼吸」(近藤論文)の併存も喘息病態に影響を与えている.今回の特集には入っていないが,「COPD増悪の治療」(田辺,室論文)の一部は喘息治療でもある.「呼吸と循環」という観点で考えると,「喫煙」は呼吸器系と循環器系の双方に影響を与えている共通のキーワードである(図).
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